今回は、「【Q&A】風邪程度で労災認定や民事訴訟等になる場合について」について作成しました。
労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。

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【Q&A】風邪程度で労災認定や民事訴訟等になる場合について
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「労災とそこから派生する労使間の民事訴訟を避けるために」を投稿いたしましたが、大変なご反響とご意見をいただきました。

https://www.soumunomori.com/column/article/atc-174805/

頂いたご意見を元に、以下の様にQ&Aを作成しました。ご参考いただければと思います。
健康リスク顕在化後の溝さらいに追われることなく、前向きな対応に努めてください。

Q:基補発0428第1号「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」で、感染症に関する労災認定基準は、従来からの考え方に基づくので、新型コロナウイルス感染症に限らないこと分かったが、風邪程度で労災申請が多発するとは考えにくい。想定される場合について教えて欲しい。

A:ご指摘のように、風邪症状だけで労災申請が多発するとは考えにくいです。しかし、高齢者や基礎疾患を持っている従業員(3ヵ月以上、8時間勤務で月20日働いていたとする)が、風邪の罹患から肺炎や基礎疾患の増悪を引き起こし、死亡災害が認められた場合は、少なくとも次の遺族補償一時金等が遺族に支払われ、年金等が適用される場合はそれ以上が支払われます。金額を鑑みるに申請がされるものと十分に考えられます。

なお、補償給付金等を受け取る権利は、従業員死亡日の翌日から起算して5年存続するので、新型コロナウイルスに限らず、過去に事業所で感染したインフルエンザや感冒等を起因として亡くなったおそれがある従業員の遺族が申請してくる可能性もあります。日頃から適切な衛生管理の取り組みと記録の保存をしておきましょう。

○遺族補償一時金等(被災労働者の死亡当時遺族補償年金を受ける遺族がいない場合)

【前提】
・給付基礎日額の1,000日分
・受給者は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹のうち最優先順位者
・遺族補償一時金に加え、遺族特別支給金、葬祭料等が支給
【給付基礎日額】

給付基礎日額は、労働基準法第12条でいう平均賃金に相当する額とされる。
そこで、令和元年度地域別最低賃金で最低の790円を元に計算する(3ヵ月の暦日を92日とする)
790(円)×8(時)×60(日)/92(日)=4,122(円)(端数切り上げ)
【遺族補償一時金、遺族特別支給金(300万円)、葬祭料等(給付基礎日額×30日+31.5万円)の金額】
4,122(円)×1,000(日)+3,000,000(円)+〔4,122(円)×30(日)+315,000(円)〕=7,560,660(円)

【参考】
給付基礎日額が、最高限度額と同額の25,492円であった場合の遺族補償一時金等
25,492(円)×1,000(日)+3,000,000(円)+25,492(円)×60(日)=30,021,520(円)

Q:労災認定されたからといって、風邪程度の対策で違法性を指摘され、民事訴訟等に波及するとは考えにくいし、裁判でも風邪対策の不備程度で損害賠償を認めないと思う。もし、民事訴訟等になった際は、どのようなことが想定されるか。

A:労災認定は…

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