今回は、「【重大最高裁判例】未必的な故意と過失の境界について」について作成しました。
労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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【重大最高裁判例】未必的な故意と過失の境界について
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令和2年8月24日に、最高裁において非常に重要な判例が出たので、労働安全衛生の観点で紹介します。
◎平成30年(あ)第728号 殺人被告事件 令和2年8月24日 第二小法廷決定
◎未必的な故意による殺人罪確定
事例概要は、「生命維持のためにインスリンの投与が必要な1型糖尿病にり患した幼年の被害者の治療をその両親から依頼された者が、両親に指示してインスリンの投与をさせず、被害者が死亡した場合について、母親を道具として利用するとともに不保護の故意のある父親と共謀した殺人罪が成立するとされた」(以下「本判例」という。)ものです。
最高裁判例の全文によると、以下のポイントが示されています。
・被害者は、今の医学で完治しないが、適切な治療をすれば、通常の生活を送ることができる。
・被害者の母親は、わらにもすがる思いで、非科学的な治療を標ぼうしていた被告人に被害者の治療を依頼した。
・被告人は、疾病に関する医学的知識はなかったが、被害者を完治させられる旨断言し、両親との間で、被害者の治療契約を締結した。
・被害者の状態は悪くなっているが、被告人は、自身による治療の効果は出ているなどとして、適切な治療を受けさせない指示を継続した。
・被告人は、未必的な殺意をもって、適切な治療を受けさせず、被害者を死亡させたものと認められ、被告人には殺人罪が成立する。
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